百怪風景

妖怪・怪談の紹介と考察を行うブログです。

(鳥山石燕『今昔画図続百鬼』) 「鵼」 鵼は深山にすめる化鳥なり。源三位頼政、頭は猿、足手は虎、尾はくちなはのごとき異物を射おとせしに、なく声の鵼に似たればとて、ぬえと名づけしならん。 (鳥山石燕『今昔画図続百鬼』) 2006年に発売された『邪魅…

高女

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』) 「高女」(たかおんな・たかじょ)は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に記載された妖怪です。「塗仏」や「おとろし」等と同じく、石燕は「高女」に関して一切の説明を加えていないため、どのような妖怪かはよくわかっていません。 …

くねくね【弐】

「くねくね」 水田や川辺といった、田舎の水場に現れるとされる怪異。遠目では人と同じような姿をしているが、その前身は白く、関節を曲げながら踊るようにくねくねとゆれており、その関節の動きは常識ではありえないという。これを見てしまうと精神に異常を…

くねくね【壱】

「くねくね」 主に田園に現れる、その名の通り体をくねらせるようにして動くという怪異。色は白く、人間の関節の構造上不可能な曲げ方をする。またこれを遠目に見る分には問題がないが、双眼鏡などの道具を介す場合も含めてそれを間近で見てしまい、それが何…

火消婆

(鳥山石燕『今昔画図続百鬼』) 「火消婆」 それ火は陽気なり。妖は陰気なり。うば玉の夜の暗きには、陰気の陽気にかつ時なれば、火消婆もあるべきにや。 (鳥山石燕『今昔画図続百鬼』) まずはじめに長らく更新が滞っていたことをお詫び申し上げます。昨…

迷い家

「マヨヒガ」 遠野にては山中の不思議なる家をマヨヒガと云ふ。マヨヒガに行き当りたる者は、必ず其家の内の什器家畜何にてもあれ持ち出でゝ来べきものなり。其人に授けんが為にかゝる家をば見する也。 (柳田国男『遠野物語』) マヨイガ(迷い家・マヨヒガ…

幽霊

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』) 気がつけば令和になって丸二年以上が経過し、西暦は2021年となりました。2021年といえば、昭和を生きていた人々からすれば、紛れもない『超未来社会』であり、当時の人々が想像するようなことはほとんど可能になっていると予想…

燈無蕎麦

「明かりなし蕎麦」 江戸本所七不思議の一つ。本所南割下水に毎晩出ていたという明かりもなく人もいない蕎麦の屋台。誰かが明かりを消したのかと、行灯に火を入れてみても、すぐに消えてしまう。そうこうして帰宅すると、その家には必ず不幸があるといわれた…

わいら

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』) 「わいら」は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』や佐脇崇之の『百怪図巻』などに描かれた妖怪です。この妖怪もまた、前記事の「おとろし」と同じく、その図像は多く描かれているものの、それらには何の説明も施されておらず、伝承の類…

おとろし

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』) 「おとろし」は鳥山石燕の『画図百鬼夜行』や佐脇崇之の『百怪図巻』などに描かれた妖怪です。他にも松井文庫の『百鬼夜行絵巻』(こちらでは名前は「毛一杯」になっています)や鳥羽僧正の真筆と言われる『化物づくし』などに…

カイナデ

「カイナデ」 京都府でいう妖怪。カイナゼともいう。節分の夜に便所に行くとカイナデに撫でられるといい、これを避けるには、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文を唱えればよいという。 (村上健司『日本妖怪大事典』) 皆さんは小学生の頃、「ト…

アマビエ

(京都大学附属図書館所蔵『アマビエ』の瓦版) 2020年初頭、世界は新型コロナウイルスの脅威に晒されました。そして、周知の通り、その疫禍は未だに収束する気配を見せません。様々な陰謀論やデマゴギーが世の中を席巻し、超情報化社会と言われる令和時代に…

瓶長

(鳥山石燕『画図百器徒然袋』) 「瓶長」 わざわひは吉事のふくするところと言へば、酌めどもかはらぬめでたきことをかねて知らする瓶長にやと、夢のうちにおもひぬ。 (鳥山石燕『画図百器徒然袋』) 明けましておめでとうございます。昨年は非常にお世話…

滑瓢

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「ぬらりひょん」) ぬらりひょん(滑瓢)と言えば、ゲゲゲの鬼太郎などにも登場する非常に有名な妖怪です。筆者は未読なのですが、『ぬらりひょんの孫』という漫画作品も流行していたので、御存知の方も多い妖怪なのではない…

籠女籠女

久々の更新になります。今回は、昔に一度、別のサイト(現在はもうやっておりません)で書いた記事の再録になります。 これはAさんという50代女性から聞いた体験談です。エピソード自体は非常に短く、すぐに終わります。まずはこちらをご覧ください。-------…

倩兮女

(鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』) 「倩兮女」 楚の国宋玉が東隣に美女あり。墻にのぼりて宋玉をうかがふ。嫣然として一たび笑へば、陽城の人を惑わせしとぞ。およそ美色の人情をとらかす事、古今にためし多し。けれけら女も朱唇をひるがへして、多くの人をまどわ…

市松人形

そろそろ九月も中盤に差し掛かり、少しずつ過ごしやすい気候になってきました。よって、実話怪談シリーズもここで一区切りとさせていただきます(しばらくは妖怪の紹介と考察に戻る予定です)。今回はとりあえず最後、ということで筆者の体験談を掲載したい…

彼岸の恋人

8月もいよいよ最終盤に差し掛かって参りましたが、未だに猛暑は衰えを知りません。暑さの続く限りは怪談記事を投稿していきます。これは筆者の知人である山本さん(仮)という男性から聞いた話です。 山本さんは、大して売れていないバンドのギタリストだっ…

ラブホテル

連日非常に暑い日が続いております。ということで、今回は夏の怪談企画第二弾です。このお話は、3年ほど前にタクシーに乗った時、その運転手さんにお聞きしたお話です。名前は伺っておりませんので、仮に山田さん、としておきます。 山田さんはタクシーの運…

ウォーリーを探さないで

さて、夏も本番になりました。当ブログでは、普段は主に古典的な妖怪の考察と紹介を行っているのですが、今回は夏ということで、筆者が直接収集した怪談をご紹介していきたいと思います。 みなさんは「ウォーリーを探さないで」という恐怖フラッシュを御存知…

塗佛

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「塗仏」) 「塗仏」 鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に、目玉を飛び出させた人間が仏壇から出てきたような形で描かれている。石燕は何も解説をしていないため、どのような妖怪かは不明である。 (村上健司編『日本妖怪大事典』)…

砂かけ婆

「スナカケババ」 奈良県では処々でいう。御社の淋しい森の蔭などを通ると砂をばらばらと振掛けて人を嚇す。姿を見た人は無いというのに婆といっている。 (柳田国男『妖怪名彙』) スナカケババといえば、鬼太郎ファミリーの一角にして、日本でも抜群の知名…

狸囃子

「タヌキバヤシ」狸囃子、深夜にどこでとも無く太鼓が聞えて来るもの。東京では番町の七不思議の一つに数えられ(風俗四五八号)、今でもまだこれを聴いて不思議がる者がある。東京のは地神楽の馬鹿ばやしに近く、加賀金沢のは笛が入っているというが、それ…

油すまし

「アブラスマシ」肥後天草島の草隅越という山路ではこういう名前の怪物が出る。ある時孫を連れた一人の婆さまが、ここを通ってこの話を思い出し、ここには昔油瓶下げたのがでたそうだというと、『今も出るぞ』といって油すましが出てきたという話もある。(…

天井嘗

(鳥山石燕『画図百器徒然袋』) 「天井嘗」天井の高は灯くらうして冬さむしと言へども、これ家さくの故にもあらず。まつたく此怪のなすわざにて、ぞつとするなるべしと、夢のうちにおもひぬ。(鳥山石燕『画図百器徒然袋』) 天井嘗(てんじょうなめ)は文…

赤ゑいの魚

(竹原春泉・桃山人『絵本百物語』) 「赤えいの魚」この魚その身の尺三里に余れり。背に砂たまればをとさんと海上にうかべり。其時船人嶋なりと思ひ船を寄れば水底にしづめり。然る時は浪あらくして船是が為に破らる。大海に多し。(竹原春泉・桃山人『絵本…

じゃんじゃん火

あれは私がまだ小学生の頃やったかな。 私、高校を卒業するまでは奈良に住んでたんやけどな。その頃住んでた家のすぐ前には大きいお墓があってね。小さい時はそれがすごい怖かったんよ。 その日はたしかお母さんの買い物についていってたんやけどね。家に着…

子取りぞ

「コトリゾ」出雲地方でいう妖怪。夕方、戸外で遊んでいる子供がいなくなると、子取りぞに奪われたなどという。子取りぞは子供を奪っては脂を搾り、その脂で南京皿を焼くのだという。(村上健司編『日本妖怪大事典』) 妖怪を考える上で、ひとつ非常に重要な…

狂骨

(鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』) 「狂骨」狂骨は井中の白骨なり。世の諺に甚しきことをきやうこつといふも、このうらみのはなはだしきよりいふならん。(鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』) 狂骨もまた、具体的な伝承が存在しない(もしくは現状発見されていない)妖…

不落不落

(鳥山石燕『画図百器徒然袋』) 「不々落々」山田もる提灯の火とは見ゆれども、まことは蘭ぎくにかくれすむ狐火なるべしと、ゆめのうちにおもひぬ。(鳥山石燕『画図百器徒然袋』) 提灯お化けと言えば、一つ目小僧や唐傘お化けと並んで非常にポピュラーな…