百怪風景

妖怪・怪談の紹介と考察を行うブログです。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

コトリバコ【参】

「コトリバコ」箱の作り方を教えた男は箱の管理の仕方を残し、ハッカイを持って去っていった。その方法とは、女子どもを近づけないこと、必ず暗く湿った場所に安置すること、箱の力は年を経るごとに弱くなっていくこと、もし必要なくなった場合は、寺では絶…

コトリバコ【弐】

「コトリバコ」その方法はまず最初に複雑に合わさった木の箱を作り、その中身を雌の家畜の血で満たして一週間置き、そして血が乾き切らないうちに蓋をする。それから部落で間引いた子どもの体の一部を入れるが、年齢によって入れる部位が異なる。生まれたば…

コトリバコ【壱】

「コトリバコ」島根県のある地域に伝わるという怪異で、木が複雑に組み合わさってできた二〇センチ四方ほどの大きさの木箱という様相をしている。本来は「子取り箱」と書く物体で、その正体は呪い殺すために作られた一種の武器だという。この箱が近くにある…

猫娘(嘗女)

(速水春暁斎『絵本百物語』) 「猫娘」(阿州の奇女)阿波の国にさる豪家の娘、きりやう諸人に勝れしが成因果にや、唯男をねぶるのくせ有りといいはやしけるが、或若者彼が容色にめでて媒人をたのみ彼家に入家し、既に閨房に入りけるが、娘はやがて婿をとら…

ヤマノケ

「ヤマノケ」山形県と宮城県の県境の山道に出現したという怪異。肌は白く、片足と首から上がなくなった人間のような姿をしており、目や鼻など顔のパーツが胸についた奇怪な姿をしている。さらには「テン…ソウ…メツ…」という言葉を発しながら両手をめちゃくち…

一反木綿

「イッタンモメン」一反木綿という名の怪物。そういう形のものが現れてひらひらとして夜間人間を襲うと、大隅高山地方ではいう。(柳田国男『妖怪名彙』) イッタンモメンは水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場する妖怪です。恐らく現在では河童や天…

邪魅

(鳥山石燕『今昔画図続百鬼』) 「邪魅」邪魅は魑魅の類なり。妖邪の悪気なるべし。(鳥山石燕『今昔画図続百鬼』) 邪魅は鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」に描かれた妖怪です。作家の京極夏彦先生が「邪魅の雫」という傑作長編小説を書いておられるので、御…

児啼爺

「コナキジジ」阿波の山分の村々で、山奥にいるという怪。形は爺だというが赤児の啼声をする。あるいは赤児の形に化けて山中で啼いているともいうのはこしらえ話らしい。人が哀れに思って抱上げると俄かに重く放そうとしてもしがみついて離れず、しまいには…

静か餅

「シズカモチ」下野益子辺でいう。夜中にこつこつこつこつと、遠方で餅の粉をはたくような音が人によって聴える。その音が段々と近づくのを搗込まれるといい、遠ざかっていくのを搗出されるといい、静か餅を搗出されると運が衰える。搗込まれた人は、箕を後…

はじめに

言葉というものは多義的であると同時に広大な「意味の広がり」を持っています。たとえば「かわいい」という言葉の持つ意味の広がりは非常に広大で、若い女性のいう「かわいい」の意味が年配の男性には全く理解できない、ということはままあることです。それ…